以前の人間関係といえば、職場の仲間か、ごく一部の取引先くらいなものだった。毎日残業が当たり前で、交際範囲を広げる余裕もなかった。仕事量自体は大して減っていないのに、今はわずかな残業だけで退社できる。週に何日かは、定時に退社することもある。だから、資格取得のために学校に通うこともできるようになったのだ。
職場での仕事の時間と資格取得のための自分の時間を毎日送っている。今までは、残業が深夜に及ぶことも珍しくなかった。そんな生活だから、家に帰るのは寝るためだけだった。平日は、仕事の時間だけの日々を送っていた。他のことをする時間も考える時間もなかった。それが今は、平日でも仕事と自分の2つの時間を生きている。
以前の私は時間に追われ、「働いているというより、働かされている」と感じていた。週末は、平日の疲れを解消することを一番に考えて過ごしていた。平日の睡眠不足を補いために、寝溜(ねだめ)に励むのが常だった。しかし、週末だけでは疲れが解消したという実感を持てずに月曜日を迎えるのが以前の私だった。常に疲労感を抱えながら、仕事だけの人生を生きていたように思う。

しかし、自分の時間を考えるようになってから変わった。毎日、仕事の時間だけで手一杯で、自分の時間なんて持てるはずがないと思っていた反面、仕事だけの人生なんて虚しいと、いつも思っていた。それが、きっかけだったと思う。
まず、日常生活の中に自分の時間のためのスペースを空けることから始めた。「今ある目先の仕事にどう取り組むか」ではなく、「本当にやりたい仕事にどう取り組むか」を考えることは、それまでの私にはなく新鮮だった。若い部下に仕事を分散するのも上手くなった。「人に頼むのではなく、任せる」という発想は、コミュニケーションの重要性に気づかせてくれた。
部下に仕事を任せて、私だけに余裕ができたわけではない。スペースを空けるための業務の見直しは、社内業務の改善につながった。部下に仕事を任せた分、私も新しい仕事に関われるようになった。私の仕事を任せられる部下を頼もしいと思うようになった。部下と言うより、パートナーと言いたいくらいだ。互いの信頼感が増したと、私だけでなく部下も思っていると思う。部下は新しい仕事にチャレンジしながら、自分の成長を実感しているようだ。そのことは、結果的に部下のモチベーションを高めることになった。

週末の倦怠感は充実感に変わった。1日が24時間であることには違いはないのに、時間の濃さが以前とは全然違う。日々、濃い時間を過ごしている。これはつまり、これからの私の人生も濃いものになるということだ。私の成長をサポートしてくれる家族や部下や仲間たちに出会えたことを幸せだと思う。
多少忙しくても、今はちゃんと現状を把握している。自分のための自分の時間を生きていることを実感している。人々に感謝し、人生は素晴らしいと思っている。